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Author:ikataro
サウンドアンドステージブログへようこそ
一級舞台機構調整技能士(音響機構調整)の管理人(新田康久)が舞台音響技術やその周辺の話題を取り上げます。
管理人の性格上しばしば脱線するかも知れませんが・・
なお、つっこみ、茶々大歓迎ですよ・・
まぁ、お互い直接会ったときに気まずくならない程度にね!

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舞台音響・PA・SRとライブでの周辺技術

一級舞台機構調整技能士でもある管理人が、舞台音響(PA,SR,Recording)などに関わる話題と技法に迫ってみたりする。

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 閑話休題

 以前、ProSound紙にも寄稿したことがあるのだが・・あのときは字数が少なかったのでこちらでいささか詳しく・・

 バトンにマイクやらスピーカーやらを吊りたい・・と言う用途は結構ある・・
専用ツールはもちろん入手できる・・事もある・・

 で、通常照明機材はどのように吊られているかというと、舞台照明用の照明機材にはアームがついている。で、このアームにダボと通称呼ばれるねじ付きのシャフト状のものが付けられる。
 このダボがバトンハンガーに各種の方法でくわえ込まれ、このハンガーでバトンに付けられるわけだ。

 照明用のハンガーはアルミ製の軽量ハンガーを除くと大概20kgから50kg位のつり下げ荷重仕様のものが多い。当然耐荷重はその10倍程度・・のはず。

 ということで、結構スピーカーやらマイクやらのつり下げに利用できそうである。おっと、耐荷重計算はスピーカーの場合は慎重にね・・
 そうそう、それと、スピーカーの場合は別途落下防止のための十分な強度のチェーンなりワイヤーを追加して欲しい。これはハンガーとは別にバトンに固定すること。
 また、手動式の場合の安全性を考慮し、一台20kg以下程度のスピーカーにしよう・・2本吊っただけで40kg・・手順を考慮しないと事故の元である。
 まぁ、スピーカーを吊ろうという場合は軽量なものであっても玉掛けの資格くらいは取っておきたいものだねぇ・・仙台の事故の例もあるし・・

 で、マイクを下げようと思ったとき・・マイクホルダーで素直に下げたいじゃないか・・

 で、ハンガーを購入したときについてきたダボを眺めていて気がついたのだ・・AKGネジなのよ・・
 早速試したらばっちり!

 よって、210のアーム締め付けの部分(そこから外すとストレートスタンドになると言う部分)あから取り外し、試しに付けてみたらきっちりダボが付けられる。
 後はアームごとハンガーに仕込んでバトンのどこでも付けられる。
 スピーカーと共吊りの場合はハウリング防止用にサスペンションも使える。

 注意点としては近年のホールではバトン数が多く、バトンと直交方向にあまりはみ出すと他のバトンに干渉すること。

 これさえ気をつければガムテでべたべた作業しなくともいいし大変に具合がいいのよね・・

 オケもの、芝居ものなどで結構バトンから下げたいと言うニーズはあるもの。

 是非利用してみて欲しい。

 おっと、ダボにも違う規格のネジのもの、そして雄雌逆のものがあるのでそれには注意。ダボが雄側でないといけない。

 そうそう、バトンにケーブルを止める場合、タイラップでは修正とか撤収が大変だし、ガムテでは2日以上のイベントの場合、塩ビと反応して分子遷移を起こし粘着剤がケーブルに付着してしまうものがある。これは後の手入れを偉く大変にしてしまうのよ・・

 んで、近年ベルクロのロング巻きを安く見つけたので、これを任意の長さに切って使用している。
 うちの小屋はトモカ電気さんにお願いしている。100メーター巻なので気軽に使えるしね・・
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セッティング / 2007/12/29 21:07
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 さて、有るところで、やっぱり音楽を聴くならカセットとかアナログがいいなと言う話がでた。
 これは懐古趣味とかのことではなく、デジタルの本質的な欠点は如何にクロックを上げようと符号化ビット数を上げようとつきまとう・・と言うところから出た話題。

 で、まぁSAオーディオの話なども含め考え直したときに、パルスとしてのビットデータとして扱っていると言うことが共通点であると気がついたのだ・・

 これは画像で言うとビットマップデータのようなもの・・その解像度の如何に関わらず・・

 なら音響において画像処理におけるベクターデータのような形でそれを扱うことは出来ないのだろうか?と思ったのよね・・
 良く波形と言う言葉が有るが、これを一次元で扱わず、2現象オシロのようにして時間軸も含んだベクターデータとして処理できれば音声データの抜け落ちに対処できるのではないかと思うのだが・・

 つまりアナログとベクターデータの変換を行えるADコンバータが有ればよいことになる。

 従来のデジタル処理よりは遙かに品位の高いオーディオが扱えるように思うのだが・・
音響総論 / 2007/12/23 21:01
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さて、反射板の性質は検討した・・つもり・・

で、代替品乃至は技術はあるか・・

で、仮装反射板ならぬ仮設反射板があることは判明した。
まぁ移動式反射板などと称して流通している。

これは移動式のパネル状のもので後方反射、後上方反射をカバーしようと言うもの。
凹レンズ状に配置されることが多く、その場合、客席の一部にレンズの焦点に近いポイントが出来ることが懸念される。まぁ、これは配置の仕方でカバーできる範囲であるかも知れないが・・
また、上方を完全にカバーできる訳ではないので打楽器、チューバ、ユーフォ等印象が大幅にちがう可能性も・・
なにより、反射板をカバーすることを目的としているものなので、結構でかい・・足の奥行きも結構取る・・よって、フル編成のものには邪魔な要素となるかも・・
よって無難な使い方としてはアンサンブル物の補強と言う考え方が良いかと思われる。

さて、管理人は悩んだ・・なぜって?
まず、費用対効果としてのクラシックものの開催比率が少ない・・
つぎに、情けないことに収納場所の確保が出来ない・・脇舞台、奥舞台ともにきわめて狭く、収蔵庫も無い我が小屋では、どうも採用できそうもない・・
難儀して予算を通して購入しても、普段は邪魔で、「外に出せ!」となりかねないのよね・・
なにより、うちの小屋の音環境で良い結果が出る保証がない・・う~ん・・
大掛かりなデモをやって、あきまへんでした・・ではメーカーだってつらかろう・・

ということは、使える条件は、
1、費用対効果の良い方法。
2、収納性の良い道具を使う方法。
3、編成に如何にかかわらず使える方法。
4、黙っていればミュージシャンにそれと気付かれない方法・・^^;;。

これらを満たす必要があることは、ご理解頂けると思う。
さてどうしようか・・

で、クラシックの録音をあらためておさらいしたのよ・・

クラシックの録音は、概ねワンポイント録音と喚ばれる手法が多用される。
まぁA-BとかX-YとかMSとかはあるにしても、いずれワンポイント・・そしてその複数の組合せが多い。

ということは、通常の家庭のリスニングルームでスピーカーラインを写像面と考えると、そこと、実際のホールとの接合面はメインのマイクの位置・・と言うことになる。

つまり、マイクとスピーカーをインターフェースとしてホール空間をリスニングルーム内に再現しようと言う無謀な試みであると言える。
これも再三にわたって述べてきた錯覚のなせる技ですよね・・

ということは、マイクライン乃至はスピーカーラインにワンポイント収音でもオーケストライメージは投影される・・と考えて差し支えないと思う。

では、反射板は?

これは反射板そのものを仮に光(映像)でいうと鏡であると仮定したらどうなるだろうか?と思ったのだ・・

天板にはオケの上から見た映像が観客乃至は演奏者に写像されている。
背板もそう、側板もそう・・もちろん写像される映像の方向はちがってくるんだけど・・

これはその音響的写像をスピーカーで再現すれば可能ではないか?
とすると、再生側のツールはスピーカー・・
収音側のツールはワンポイント収音・・
これを写像と収音の接合面をまさに実際に反射板の位置にすることで再現可能ではないか・・と考えたのが、ヴァーチャル(仮想)反射板の原点だった。

実際にワンポイントで収音したものをリスニングルームで再生すると、音像はスピーカーの奥、ホールの奥行きをとらえた再生になる。

現実の反射板が仮に鏡であったとして、そこに写る映像は鏡と演奏者の間の距離を2倍にしたものとなる。

であれば、ワンポイントマイクを反射板の位置に置く。これで、演奏者と反射板の距離がある。
で、反射板の位置から再生すると反射板に投影される音像イメージは演奏者と反射板の距離分奥に投影される。で、反射板と演奏者の距離更に加わって演奏者に届く・・

これはまさに物理的反射板と演奏者の投影関係に等しいものなので、演奏者にとって違和感は少ないものと想像される。

同じ理屈をリスナーに対しても応用する。

この場合、メインの再生スピーカーは通常の小屋であればプロセとサイドカラムとなるかと思う・・(うちの小屋はリギングしているが)
とすると、生音より反射板用としてセットしたマイクからの音を遅らせれば良い。
実際に整合させるためには、マイクとスピーカーの距離を計り、ディレイを施せば良い。マイク自体すでに演奏者と反射板との距離分離れていることに注目していただきたい。ここでのディレイに更にディレイを掛けて、実際の反射板の効果に近づけるわけだ。

おおまかな概念はこんなもんだけど・・文章だけで分かりますかね?
次回は具体的なセット方なぞ・・気力が続けば・・^^;;
音響プラン / 2007/12/13 11:07
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 我が職場の小屋・・設計屋がミスってスプリンクライーを忘れて積算したため土壇場になって予算不足が露呈し、外壁のレンガも塗装に、大理石の柱も塗装に・・松羽目は省略され、音響反射板もなくなった・・おいおい!
 今をさかのぼること四半世紀以上前のこと・・

 まぁ設計時にも建築時にもいなかった私としては今更何を言っても変らない・・無いものは泣いてもわめいてもない・・いくら演奏者から侮蔑されようと「しんじらんな~い!」と驚愕されようと無い物は無い・・

 無いから音が悪いよ・・で済ませたくないなぁ・・と色々考えて、じゃあ電気音響的にそれをカバーする手段はないだろうか・・と色々考えたさ・・

 いくつかのハードルはある。

 まず、少なくとも日本のクラシック系の演奏家は原理主義者的な人が多く、一切マイクの類いを認めない・・と言う場合が多いのよ・・曰く嘘臭いとか、人為的なものはよくないとか、自然な音でないとか・・
 まぁ言いたいことはよく分かる。しばしそういうPA臭いクラシックの演奏会も聴いたことはある・・が、それはプランナーとオペレータの未熟、乃至は不勉強のさせる技(か、あまりの予算の少なさ)で、音響機材に罪は無いと思う。
 が、ここでその話をしてもしょうがない・・

 で、反射板の効果・・乃至は性質を再考してみた。

 よくできた反射板の場合(このよくできたと言うのがまた問題で、反射板を使うと音が悪くなる場合も多々・・レコーディングなどではそれがあるので結果が悪ければ使わない等と言うことも・・)、まず第一に上方、後方向、横方向に放射エネルギーの大きい楽器の音を、それこそ反射させてリスナーに届ける役割。
 第2に、ステージ上の音響空間と客席の音響空間を結合させ、一次反射や各種残響音を整合させる。(きれいな響きのためには重要、うちの小屋のように汚い響きと言う事例も)
 第3に、演奏者に対し適切なアーリーリフレクションを提供し、楽器の音を完成させることに寄与する。(これは無響室でのヴァイオリンがどうなるか・・また、その無響室のヴァイオリンに一次反射を消した残響だけを足すと、ヴァイオリンの音としてまともになるかどうかを想像してください)
 第4に、ステージ空間でのキャビティ共振を発生させる・・これはどちらかと言うとネガティブなものかも知れませんが、ある種の低音を補完したりと言う意味で全否定は出来ませんねぇ・・
 第5に設計が悪いといらぬフラッターなども・・^^;;

 実際の反射板を使用したにしても、ソロ楽器などの場合(オケではスペースの制約上猶予がない)、非常に細かく位置や向きを調整しないとなかなか満足した音にならない・・というのは小屋付の、あるいはレコーディングで小屋を使った人なら用意に想像の出来ることですね。つまり、反射板が正義ではない・・ということです。

 これは小屋自体にも言えることで、所詮人間の設計した建造物。小屋自体が人為的なものなので、確かにアコースティックかも知れないが結果が悪いことも電気システム同様にある・・と言うことです。
 特にその小屋の音は一旦出来てしまうと容易に変更は出来ませんしね・・

 さて、反射板にはこれだけの要素がある・・と言うことをまず頭にたたき込んで、ではさてどうしようかと管理人は悩んだのよ・・

 続く・・か?
音響プラン / 2007/12/07 09:58
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 はてさて、定位や錯覚でオンマイクの話はちょっとやったので、今度は逆にオフマイク拡声のことを・・

 先日、○○大会と言う仕事の中で、幼稚園児が寸劇をする・・と言う仕事があった。
 当日まで打合せも出来ないし、例えしたところで幼稚園児が、打ち合わせ通りに出来るはずも無い・・(大体打合せは先生とするし・・)
 で、結局リハーサルもなし・・と言うことになってしまった。

 こういうときはバウンダリーマイクを舞台の端に並べておくことがよく行なわれる。
 劇団なんかでも5本6本と昔はガンマイク、最近はバウンダリーが並ぶ。

 さて、管理人はと言うと最近はすっかり無精になって出しても2本!

 一間間隔くらいにしてそれで終わり・・

 前にスピーチに於けるスプリット拡声と言う概念の話をちょっとしてあると思う。
 そこで2本のマイクをパンを左右に振りきることで、独立した音響系が2系と出来たのと同じ効果を狙うと書いた。

 なぜこれが大事かと言うと、ミキサーの中で混ぜないことが大事なんだと書いたのよね・・つまり、電気的にミキサー中で混ぜると逆相などにより失われた信号は、決して戻らないから・・と書いたのだった。
 空間で混ぜる分には例え正弦波の順逆相状態でも全くゼロにはならないものだ・・

 で・・舞台の端にマイクがカラカラ並ぶということは、同一音源に対し非常に微妙に位相がずれた信号がパンを上手に使ったにしてもミキサー内で混ざってしまうと言うことであり、位相的な混変調のような現象が起こる。
 すると、現実問題として何が起きるか?

 EQでいくら補正しても汚くハーモナイズされた音になり、かつ位相の複雑さからハウリングもおきやすくなる。同様にEQもその分複雑になる。

 結果、おっ立てたマイクの本数の割にはゲインが稼げない・・となってしまいやすいのだな・・

 そこで、問題をシンプルにし、位相をきれいにする意味でワンポイントステレオ的な管理人のアプローチは理に適ったものだと思う。
 やってみると、結構ゲインは上がるのよ・・
 実際上がりすぎて、くだんのイベントでは子供らの元気いっぱいの挨拶に思わずフェーダーを絞らざるを得なかったくらい・・

 芝居物、伝統芸能など、結構このオフマイクでの拡声の機会はあるものだ・・思い出したらお試しあれ!

 そうそう、以前も書いたと思うがバウンダリーマイク、子供らとか叔母様型に踏まれないためには、舞台前の床に置いた譜面台にバウンダリーを置くことをお勧め。わざわざ舞台の端を飛びだしてまでマイクを踏みに来る奴はいまい・・煽り角度も付けられるし・・
セッティング / 2007/12/06 13:14
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さて、定位絡みで錯覚の話を降ったので、ついでに今一つ考えてみたい。
ステレオ再生が錯覚の賜で、物理測定するとあくまでそのスピーカーの音源方向しか測定しないだろうことはすでに記した。
が、一部読者には「ふっふっふっ・・リサジューがあるぞ・・馬鹿め・・」と考えた方もいらっしゃるかも知れない・・

おっと!リサジューを知らない方のために・・まぁ一部メーカーでステレオスコープなどと称して専用化されたツールもあるのだが、2現象オシロスコープで、X,Yにステレオのそれぞれの信号を入れて観察したもののことである。

モノーラル正相では普通は左斜めの一直線に。多分左をY軸、右をX軸にしたとすると、Lだけなら縦一本の線が、Rだけなら横一本の線が表示され、楽音を入れるともじゃもじゃした線画が表示されるというものだ。
この線画をリサジューとよぶ。
専用機はモノラルの時に縦一本の直線になるように表示部分を傾けてある。古いものはブラウン管だったが、今は液晶が多いのかな?

さて、このリサジュー・・確かに位相のチェックや定位の観察に応用している。
が、あくまで左右の信号のベクトル合成したものを見ているに過ぎない。その証拠にモノラル完全逆相の時には定位と関係ない表示になるし(そもそも定位したと言えるかどうか・・)、生音でもしばしその状態が観察される。
まぁ、だからマイクアレンジを直せ!と言う話になったりするんだけど・・

厳密な意味での定位を測定している訳ではない・・

さて、世の中サラウンド流行り・・
特にハリウッド製のスペクタクル物は音が飛び回ること飛び回ること・・

でも・・非常に苛つく音なのよね・・

サラウンドにするために相当位相をいじらなくてはいけないらしく、特に飛び道具物はその傾向が強い・・

結果・・実際の音に比べ位相が狂ったじゅるじゅるした音になる・・
確かに新幹線の音でもジェット機の音でも位相がずれた音の成分は確かにある。
が、それ以上に正しく音源自体が動いていることで出来た音である。

新幹線に至っては数百メートルにわたる音源群の作り出す音であり、決してモノラル録音した音を位相をいじって定位をいじって造った・・などと言う音では再現できない。

まぁ再現しても錯覚だ・・というパラドックスは置いといて・・^^;;

次に我々音屋にとって一番の常識、オンマイク収音についても、以前に書いた気はするのだがもう一度記しておこう。

通常、生楽器は数十センチから数メートルの筐体サイズがあり、ほとんどその全部から音がでている。これを我々は二十センチ程度の左右の耳の間隔と全身の振動センサーなども総合して音として聞いている。従ってエネルギー伝達系として考えた場合、相当に複雑な系であることは理解してもらえると思う。これに距離の関数も加わるし収音場所の音場の問題も加わる。

いや、だったらそんなもん積分してしまえば・・とか言わないように・・単純にエネルギー総量を測定すれば済むものではない・・なぜならそれを受け取る人間の側が結構それぞれを分析しつつ、かつ総合的にも受け取っているから・・

と言うような複雑な音源を、たかだか1次元のピストンモーションしかしないマイクロホン・・という入力機器で果たして正確に拾っていると言えるのだろうか?
いや、確かにカプセル径とか指向角とかは色々だが、カプセル自体の振動方向はあくまで一次元である。

さらに、現実の耳ではあり得ない近距離で収オンしているのがオンマイク収音。
これは一つ一つのマイクの信号はとてもその楽器の代表的な普通に耳にしている音になぞなる訳が無い・・それでも普通にマイクを立て、なんのEQもしなくてもスピーカーから出してみると意外に納得する音であったりする・・これはFBSR会の以前の研修テーマNonEQミキシングでも確認済み。
なぜか?

ここにも人間の素晴らしい錯覚の機能が良い方向に働いている。
スピーカーから出た多分元はキツイであろう楽音が空間に放出されてから生の楽音とミックスされ、且つ空間を経て自然残響が加わることで元の楽器のイメージと遜色ない物と感じられるためだ。
逆にこれがあるからこそマイク段階で空間の音まで拾ってしまうとぼけてしまう!
と言う考え方も出来る。

ここら辺が録音とPAとの分水嶺なんだろうねぇ・・

さて、斯様に錯覚の影響が大きいとすると、そもそも音楽自体が大いなる錯覚のなせる技・・とも言えるよね?
ということは、物理的に生音、あるいは原音志向を目指すより、その場のミュージシャンにその場のリスナーが抱いているイメージ・・に忠実であることの方が遥かに重要だと思う。
ここで忠実であることを否定はしていないが、幻想としての原音を追求するより、同じ幻想ならそのイベントの一番の目玉であるステージ上の出演者にリスナーが抱いている幻想!に忠実である方がよりそのイベントの印象は素晴らしいものになることは間違いなさそうである。

例えば名前を出して恐縮だが、かのクラプトン氏のライブで、フィンガーボードの出すわずかな雑音(そんなものはほとんど出さないプレーヤーだが・・)が、リアルに聞こえるライブと、醸し出すメロディが美しく響くライブと、どちらが良い印象を持つかは言うまでも無いだろう・・

と言うことを総合的に考え合わせると、ライブPAのエンジニアの素養はもちろん電気的な知識とか音楽的な知識もさることながら、意外や心理学、あるいは大脳生理学、の知識が役立つことが多そうだ・・

カクテルパーティ効果など音響学的に語られてはいるが、実は脳の錯覚のなせる、あるいは脳だからこその効果を結構現場では求められているしね・・
ステレオイメージの問題も、ハース効果の問題も結局は脳の問題。

さて、諸兄は如何お感じになられますか?
音響総論 / 2007/12/04 09:45
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 さて、定位に関して錯覚の話を振ったので、ついでにもう少し錯覚の話を掘り下げてみよう。

 そもそも、我々がステレオ再生を行っているそのこと自体が、実は大いなる錯覚であることに気がつかないと、不毛な原音談義に陥ってしまう・・・

 仮に非常に精密な音源方向を特定できるマイクがあるとして、我々が通常愛用しているステレオ再生装置から出ている音はどのように判断されるだろうか?

 想像するに、あくまで2方向からの関連のある音情報の到達・・としか判定されないと思われる。
これは5.1サラウンドだろうが7.1サラウンドだろうが、物理エネルギーの到達方向を測定する限りそうとしか答え得ないと思う・・だって、物理測定なんだから・・

 でも、我々はその間に楽器や歌声を定位して聞いてしまう・・

 これってすごい不思議で・・実に残酷なことだと思いませんか?
 人間って・・そんなことも判別できないのか・・って・・でも・そのなかで何十年もやれ原音再生が・・とか口角泡を飛ばしているわけで・・

 我々の脳の作り出す不思議でもあるし、その哀しみでもあると思ってしまうのよね・・

 なんで、こんな事でだまされてしまうんだろうか・・なんで我々はこの欺瞞に気がつかないのか・・とか・・

 社会の中にも、人間関係の中にも、一見物理的真実と思いこんでいることの中にも・・たくさんの錯覚が紛れ込んでいるのだろうなと・・
 それでもって、あいつは嘘つきだとか、本質が・・とか・・

 よく考えて欲しい・・

 自分が見ているその景色を他の人が見ているか・・本当に同じかどうか・・
 自分が見ている色が他の人も本当に同じかどうか・・
 自分が聞いているこの音が他の人も同じかどうか・・

 その検証の方法は無いんだよね・・

 写真も、絵も、景色も、彼女の顔も、自分の顔も・・すべてが自分の主観のなせる技・・誰とも共用できていないかも知れない・・って言うことを・・考えられます?

 主観を客体化する手段はたぶん今後とも誰も持ち得ないのではないか・・と言う恐怖をちょっと持ってしまいますよね・・

 で、そこから他人をまったく無視するのか・・他人のことを慮んばかってより他人に優しいであろう・・(これは客体化できないからねぇ・・)アプローチに進むのか・・

 管理人はどちらも評価しないし判断もしません・・あなたが決めることです・・

 絶対(と言うことはあり得ませんが・・)に誰とも共通の認識はもてないから他人をネグレクトするのか・・
 だからこそ、見果てぬ夢を追うのか・・

 たかが音響・・されど音響・・たった一つの感覚でも人の生き方に相通じる深いテーマが隠されているようです。
音響総論 / 2007/12/03 23:05
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 奇特なことに(と書いて気が付いたのだが、この言葉、辞書を引いても良い意味しか載っていないけれど・・もちろん私もその意味で使ったつもりだが・・近年、人を小馬鹿にするときに使う人がいるので、使うシチュエーションの難しくなった言葉ですねぇ・・)、このブログを読んでくださっている方からご質問も頂戴したので、そのうちの一つとして、定位の問題をちょっと考えてみたい。

 そもそも、定位に決まりなどと言うものは無いので、各オペレータがミュージシャンと相談して決めて構わないかとも思う・・
 たち位置のギターが下手にいても上手から音を出したからと言って、誰かが烈火のごとく怒りだす訳ではないし、損害を被るなどと言うものではない・・

 が、大脳生理学とか脳神経学系の本を読んでいると、人間の脳は非常に多くの錯覚から成り立っていることが分かる。
 視覚情報さえ過去に記憶したものを利用して補完されている。

 例えば、有名な話だが、片足や片手を事故で切断してしまった方は、しばし幻肢痛で悩まされる・・まぁ、無いはずの指先がかゆいとか、痛い・・と言う奴だ。

 これは非常に厄介で、ある鍼灸師の方は対応する逆側の手足を刺激すると効果があると仰っていたが、脳の中の幽霊という、本を書かれたチャランドラン博士による研究では、顔の片側に鏡を置き、視覚上両足があるように見せて、該当する逆側の手足を刺激すると、非常に効果があることが判明したらしい。
 つまり、視覚情報として両方があるように脳をだますのだそうだ・・

 そんな馬鹿な・・といいたいところだが、実際に効果があることを考えると、存外人間の知覚と言うのは大いなる錯覚で成り立っているものらしい。

 その伝から類推するに、鏡の中の自分は常に若く、痩せて見える・・というのはそういうことか・・と納得してしまう・・写真ではがく然とするからねぇ・・

 で、何を言いたいかと言うとだ・・ミュージシャンがステージに立ったその状態で、リスナーはすでに定位をその位置と脳に刷り込ませている・・と言う訳だな・・

 で、それと全くちがう定位にした場合、かなり異様なものと認識されることは想像に難くない・・
 ということは、見た目に定位を合わせる・・と言うのが、少なくとも自然なアプローチと言えると思う。

 よく、邦楽はこうあるべきとか仰る方がいるが、現実のイベントとしてそのように座れていないなら無理がある話・・理想通りに座れないと言う制約があったらそれを素直に受け入れてそのままで出した方がトラブルも少ないと思う・・(まぁ、うるさい重鎮からは苦情を言われそうだが・・)

 まぁ、定位と言ってもミキサーのパンポットで簡単に決めることが多い訳だが、管理人の場合、ハウスの音にディレイを施してすべての生音よりハウスを後から出すことでより自然な低位を狙う。

 これも、人間は先に聞いた音の印象で後から出た音も判断してしまうと言う脳の錯覚現象を利用している。つまり、PA臭さが少なくなる。

 まぁここではハース効果の話は止めておこう・・あれは懲りだすときりがないし、リスナーと演奏者の位置関係が大規模会場などでは複雑になってきて狙い通りに行かないことも多い・・

 そうそう、ハース効果は社会主義国で開発されたって知ってます?
 党員総会などの大規模集会で明瞭度を確保するために研究されたらしいのよ・・
 う~ん・・想像するとすごいものがありますよね・・

 実際、宗教団体の教主の説法などで利用するとリスナーのものすごい意識の集中が起こると伺ったことはある。

 まぁ、実際にパンの定位なんかはスピーカー間距離の方がミュージシャン距離より離れているので、若干オーバー気味にすることが多いんだけどね・・

 ステレオ拡声は一時ずいぶんと賛否両論があったものだ。
 曰く、ステレオにすると端に座った人がバランスが悪い音を聞くことになる・・云々・・

 まぁ、モノラル拡声はヘビメタなどでど迫力の塊感のある音を出すためにわざと使用する場合もあるのだが、端に座った人ってそもそも端に座ったことによる視覚的なアンバランスを前提にしてしまっている・・脳が・・と言う問題もあって、存外ステレオ再生でも苦情は出ないもんだ・・なぜって・・見たままのバランスだから・・
 と言う割り切りもプロとしては考慮に入れておいていいかと思う。
 ああ・・んと・・何でも切り捨てろ!と言う訳ではないけれどさ・・

 ヘッドアンプのゲイン調整などと違い、こうしなければ・・と言うようなものではないし、誰かそれでけが人が出る等と言う問題ではないので、結局各自の感性でという話ではあるのだけれど、ナチュラルな音・・と言うのを意識する場合は是非ご参考に・・
セッティング / 2007/12/01 17:09
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