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一級舞台機構調整技能士(音響機構調整)の管理人(新田康久)が舞台音響技術やその周辺の話題を取り上げます。
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舞台音響・PA・SRとライブでの周辺技術

一級舞台機構調整技能士でもある管理人が、舞台音響(PA,SR,Recording)などに関わる話題と技法に迫ってみたりする。

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といっても、別に回路理論的な話をしようってんじゃぁない・・こちとら高専を落第して以来そういう話は避けてきたし・・

さて、純粋に電気回路としてのインピーダンスもそうだが、機械系を含んでのインピーダンスとなるとマイクかスピーカーに伴う問題が、現場的には結構大問題。

アンプスピーカーで構成される回路は、簡単には電圧源としてのアンプ、そしてその内部インピーダンスが直列に入り、その直列系に更にスピーカーが直列にはいる形で表現される。

けれど、現場的にはこれにスピーカーと直列に線路抵抗(スピーカーケーブルの抵抗)が入るものと理解した方が良い。

現代のアンプは内部インピーダンスは殆ど無視できるほどで、ダンピングファクターが1000だの、一万だのになってしまう・・
これは、スピーカーからアンプを見た場合、殆どショートしているのと変わりない。(線路抵抗が無視できる場合)

だから、8オームのスピーカーに仮に100Wattを供給するとして、線が短ければスピーカーにエネルギーは完全に供給されると思って対して問題ではない。まぁ、スピーカーから100Watt出ている・・というアマチュア的発言で差し支えない。

が、細く長いケーブルを使う必要が合ったとき、グランドや公園、駅構内での配線のようにしこたまになると、なかなかにこの線路抵抗は無視できない。

というのもそもそものスピーカーのインピーダンスが8オーム程度であることが大きい。

仮に0.08オームの線路抵抗になってしまったとすると、100:1の比率。
総抵抗は8.08オームでアンプから出たパワーはスピーカーと線路で100:1でエネルギーを分けあってしまう・・
かりに101Wattの出力をアンプが出していると、なんと、ケーブルだけで1Watt消費している計算になる。
家庭内で1Wattも音を出したら苦情が来ること間違いない・・
それほどのエネルギーを無駄に熱にしてしまっている・・

だから線路抵抗を低くしなければならない訳だ・・よってスピーカーケーブルは太く!短く!

カーステレオに用いられているスピーカーケーブルがやたらに太くて高いものが多いのも、アンプの低電圧動作に由来する4オームスピーカーの多用に関係する。
スピーカーのインピーダンスが低い程、線路抵抗の影響を受けやすい・・
先ほどの理屈で言うと102Watt出しているときに2Wattがケーブルで消費されるのと一緒。

次にダンピングファクターの観点から眺めてみよう。

先ほど理想的にはスピーカーからアンプを見るとアンプは殆ど抵抗がないに等しい・・
したがって、電圧源としてのスピーカー(??と思っている人いるでしょ!スピーカーはマイク端子に繋ぐとちゃんと音を拾うのよ・・つまり音が入ると電機を発生するのだ!・・よって電圧源!)からアンプ側を見るとショートに近い・・
これが勝手にスピーカーが暴れるのを防いでいる。ちょっと触ったらボワ~~~ん・・なんてのは願い下げでしょ?
音楽再生的に考えると、アンプから供給された信号をきっかけに勝手に振動されては困る訳で、波形をきちんとトレースしてくれないとね・・だからダンピングファクターが重視された・・(特に真空管アンプ時代はね・・ダンピングファクターを低くするのが大変だったから・・)

で、現代のウルトラパラレルトランジスターの時代ではアンプの内部抵抗は内に等しいほど・・

ところが、先ほどの線路抵抗!
こいつがまたまた邪魔をする。
先ほどの伝で言うと0.08オームの線路抵抗が有るとダンピングファクター10000有ろうと一気に100以下に落ちてしまう・・俗に言う締まりの悪い音になりやすい訳だな・・現代SRでのキックの音なんかは覿面。

よって、HiFi再生の観点からもスピーカーケーブルは決して無視できない訳だ・・

さて、8オームのスピーカーが4台有る・・一つのキャビに納めてパラシリーズにするとトータルで8オーム・・というスピーカーの結線方法が教科書にも載っている・・

先ほどから話しているダンピングファクターの考え方を大事にするならとんでもないことになる・・と言うことは理解してもらえると思う。

が、背に腹は代えられない・・の伝で、なんとしてもそういう運用をせざるを得ないことも有るだろう・・

このパラシリーズ接続・・2種類あることはお気付きだろうか?

まず「8Ω直列8Ω」で、16Ωを作り、この組合せを二つパラレルにする方法。
もう一つは「8Ω系列8Ω」で4Ωを作り、この組合せを直列にする方法。

どちらがより良いか、一つのスピーカーからアンプ側を眺めたときのインピーダンスがどちらが少ないかを計算してみればすぐに分かると思う。各自チェックしてね!

さて、一般的に使用されている低インピーダンス駆動(4-16Ωのスピーカーをアンプで駆動する方法)は、HiFi再生には向いているが、ケーブルへの注文が多く、長距離で、かつとにかく沢山のスピーカーを鳴らしたい!と言う用途に余り向かない・・ということに気付かれたと思う。

そう、だから100Vラインと通称言われる伝送方法が考案された。(まれに70V・120Vラインと言うこともある)

P=EIでE=IRなので、P=I^2Rである。

100Wattのアンプは8Ωのスピーカーには3.53アンペアの電流を流す。
よってスピーカーには28.3V位が掛かっている。これが低インピーダンス駆動によるスピーカーの受けている電圧。

これを100V伝送すると100Wのアンプだと1アンペア流せば良い。
したがって相手は100オームが最低リミット。
スピーカーに3W出せば良い(教室など)くらいなら3.3Kのトランスで受けると30個のスピーカーを駆動できることになる。
30Wattなら330Ω。
まぁ、厳密な計算は暇なときにするとして、これが構内放送システムでの基本的な考え方。PA(public Address)という用語のもともとの意味もこちらのシステムにある。

で、電力とか電圧・・で計算する分には確かにこれで正解・・
が、ダンプングファクターはどうなる?
と思ったときには悲惨なことになる・・

だから構内放送の音質は良くない・・妙にカンカン尾を引くような音質はダンピングファクターの著しく悪化した姿である。(トランス結合なので電力の伝達効率が良い代わりダンプングファクターは1!)

通常は現場でこんな計算はしないが、ケーブルの選定、緊急の借り物スピーカーの繋ぎ込み、隣の公園まで音を出してくれ!と言われたときのトランペットスピーカーの結線・・などのとき、このハイインピーダンスの話や、パラシリーズ結線の話を思い出して頂ければ・・

そうそう、もう一つ。

スピーカーからアンプを見たときのインピーダンスの話をした。
スピーカーはそれ自体電圧源となると言う話しもした。
つまり、マイクと一緒。動けば電気を出す。
マイクにもなるでよ・・だからトランシーバなどは兼用しているでしょ?

で、アンプが結線されているとき、アンプが生きていれば内部抵抗は少ない。よってスピーカーが余計な振動をしようとしても発生した電力がショートしたような状態になってブレーキが掛かる。これは逆起電力は常に動きを止める方向に流れるから・・昔の自転車でライトをつけると重くなったのと同じね・・

ではスピーカーに何も繋いでないときは?

いくらスピーカーのコーン紙が動いても流れる電気回路がないので止める要素もない・・

何を言いたいのかと言うと、トランポの途中の話である。
スピーカーを移動するときに端子をショートしていると稼動部分のブレーキになるので破損し難くなるよ!と言う話なのだ・・

スピーカー用のショートスピコンを準備してトランポ時に装着しておくとスピーカーの破損がへり、寿命が伸びる。

大昔のオーディオマニアなどはここらを良く知っていたが、最近の若い人は知らないみたいなので、あえて恥ずかしくも蘊蓄を垂れておく・・^^;;
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音響総論 / 2007/06/23 10:43
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